乳がん体験記

【体験談 #6】副作用と、乗り越えるための工夫

色とりどりのフルーツ盛り合わせ、生野菜サラダ、サンドイッチなどの食事写真

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この体験記は第6話です。シリーズ全体はこちら▶【https://kinakomilk.com/nyugan00/

はじめに

前回は、術前化学療法(抗がん剤治療)の初回投与のことを主に綴りました。今回は、抗がん剤治療中に実際に感じた副作用と、それを乗り越えるために私が試したことをまとめます。


私に出た副作用

同じ抗がん剤でも、副作用の出方は人それぞれ
私は、以下のようなこんな症状がありました。

  • 吐き気(投与翌日〜2,3日が特に辛い)

  • 食欲不振

  • 味覚の変化

  • 口内炎

  • 体が重い・だるい・フラフラ(小幅でしか歩けなかったり、何度か転倒したことも)

  • 肌荒れ・乾燥・手指のあかぎれ・かかとガサガサ

  • お通じの乱れ(下痢・便秘)

  • 脱毛

  • 爪の変色・割れ

  • 目のかすみ


脱毛とツルすべ肌

髪が抜け始めたのは、初めての抗がん剤投与から3〜4週間後くらいでした。がん患者さんの中には、脱毛に備えてバリカンなどで髪を短くされる方もいますが、私にはその勇気がなく、ミディアムヘアのまま脱毛期を迎えました。

最初はパラパラ程度でしたが、日に日に抜ける量が増えていきました。起床時の枕、髪のブラッシング、お風呂上がりのドライヤーは、特に抜ける量が多かったです。

在宅時はヘアキャップをかぶって過ごしたり、ブラシに取り替えシートを付けたり、洗面所を使用する時はボウルに古紙を敷いたり…色々工夫しつつ、コロコロ・クイックルワイパー・掃除機の三種の神器で大奮闘していました。

抜けるのは髪の毛だけではありません。眉毛・まつ毛・鼻毛・指毛など、ありとあらゆる毛が抜けました。まだ医療脱毛をしていない剛毛体質なので、ムダ毛処理をしなくて良くなったのは正直ラクでした(笑)顔は肌荒れしていたけど、腕や脚はツルツルすべすべになって、「医療脱毛ってこういう感じなのか!」と擬似体験できたのは良い経験でした。

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🤢 吐き気が一番つらかった

私はもともと乗り物酔いしやすいせいか、通常より吐き気が強めに出るタイプでした。
主治医に相談して、点滴での吐き気止めを強いものに変えてもらったり、
錠剤の吐き気止めを処方してもらったりしましたが、完全には抑えきれず…。

慢性的に吐き気が続く時期は、眠くないのにベッドに横になって夫が帰宅するまでただ時間が過ぎていくのを待つしかなく…あの時間はとてもとても長く感じました。長時間ベッドにいると、腰が痛くなってくるのも地味にキツかったです。

吐き気があると動画や映画を観る集中力もなく、音声だけ垂れ流して聞くことが多かったです。あの頃、壁や天井に映せるプロジェクターを買えばよかったな、と今は思います。

体を起こすだけで吐き気に襲われてしまう状態だったので、体調が少しマシなタイミングを見計らってお風呂に入るので精一杯でした。お風呂上がりは、スキンケアする気力もなく、身体だけタオルで拭き上げてベッドになだれ込んでいました。

家事ができない日が圧倒的に多かったので、掃除も洗濯も滞るし、キッチンに立つ元気もなく…。でも、体調不良の体をひきずってまではやろうとは思いませんでした。「できないものはできないんだから仕方がない」と開き直っていました。

体調が比較的良い時期でも、急に吐き気に襲われることが度々ありました。出先でしゃっくりが出始めると「そろそろ吐き気がくる」というサインでした。

抗がん剤治療の回数を重ねていくにつれ、うがいや歯磨き粉の泡など喉へのちょっとした刺激で反射的に嘔吐してしまうことが増えていきました。最終的には、吐き気止めの錠剤さえも嘔吐のきっかけになってしまい、座薬タイプの吐き気止めや痛み止めを処方してもらっていました。

経過観察に入って半年以上経った今は、体調良く時間を有意義に使えることが、本当に嬉しいです。

壁や天井に投影できるプロジェクター


🍽 食欲減退&味覚異常

慢性的な吐き気のせいで食欲が落ち、味覚異常も重なり、食べ物も飲み物も美味しく感じにくくなりました。特に酸味以外の味が鈍くなり、好きだった味が苦手な味に上書きされていきました。体力をつけるために食べなければいけないのは頭では理解できるものの、口に合わない物を口に運ぶのは気が進まず、食べられる物の幅がどんどん狭まってしまいました。

投与後の数日〜1週間は特に辛く、果物やゼリーを少量食べるのがやっと。吐き気が落ち着いても、元の食欲までは回復せずお子様ランチ程度の量で十分でした。


✅ 比較的飲み食いできたもの

  • 麦茶、コーラなどの炭酸飲料、フルーツジュース

  • 果物、ゼリー、ヨーグルト、生野菜、冷やし中華、アイスクリーム、プリン

❌ 苦手になったもの

  • → 硬水?金属?のような、かなり癖のある味に

  • 緑茶・ほうじ茶 → 美味しく感じずチビチビとしか飲めなかった

  • コーヒー系 → 吐き気や下痢の引き金に

  • 辛いもの → マイルドな辛さでも激辛に🔥

  • うす塩ポップコーン → 映画のお供が、塩抜きの味に。塩って偉大…

  • 揚げ物全般 → 食べたいと思わなくなった

  • チョコレート → 苦くまずい味に


🍳 味覚異常と料理

お料理は、1ヶ月に1週間程度していました。

味覚異常により、自分の味覚が信用できなったので、レシピの分量を忠実に守るように心がけていました。ちょっとした匂いで気分が悪くなることがあったので、体調が不安定な時は一品作っては休憩、また一品作っては休憩するようにしていました。

印象的だったのは、去年のお正月に夫のリクエストで作った筑前煮。昆布と鰹節でとった一番だしを使うのですが、例年はなんとも思わないお出汁の香りがものすごく強烈で、キッチンに立っているだけで吐き気を催(もよお)しました。我が家の筑前煮は、煮しめみたいに具材を種類ごとに調理して味付け(お出汁必須)をしっかり行うので、何か1種類具材を作ってはベッドに倒れ込み、時間を掛けて作りました。

思い起こせば、この時だけでなく、外出時にきしめん屋さんの前を通りすがった時に漂ってきたお出汁の香りもダメだったので、あたたかいお出汁の香りは、化学療法中の私の体と特に相性が悪かったようです。

料理が作れない体調の時、夫の食事は、外食やテイクアウトで乗り切ってもらうことが多かったです。週末など夫が休みの日は、夫が料理を作ってくれていました。いつも「何なら食べられそう?」と聞いてくれて、本当にありがたかったです。


🦠 感染症に要注意

抗がん剤治療で白血球が減って免疫力が落ちると、普段ならすぐ治るような軽い風邪も長引きます。

治療中、夫がインフルエンザや新型コロナにかかったときは、本当にヒヤヒヤしました。治療スケジュールに影響するどころか、命に関わる可能性もあったので、マスクや手洗いを徹底していました。


🏋️ できる範囲で運動も

主治医に聞いたら運動は積極的にやっていいと言っていたので、体調が良い日は、少しでも体力をつけられるよう体を動かすようにしていました。中でも特に取り組んでいたのは、ニンテンドースイッチのリングフィットアドベンチャー。体力も筋力も体幹もヘロヘロだったので、無理をせず一番低い負荷でやっていました。

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💪 私が頑張れた理由

何よりも「がん細胞を叩きたい!」という想いが、治療を頑張る原動力でした。

特にリンパ節に転移したがん細胞だけは絶対に叩き潰したかった。リンパ節にがんが残っていると、手術で腋窩リンパ節郭清を追加されることになり、リンパ浮腫のリスクも一生つきまとうことになるからです。

結果的に、抗がん剤でリンパ節の転移は消えませんでしたが、自分としてはやれるだけのことはやった(術前化学療法を完走した!)という自負があるので、後悔はありません。


📝 治療中に役立った小さな工夫

ヘルプマーク
役所の福祉課へもらいに行きました。
外出先では階段を避けてエレベーターや優先席を使わせてもらいました。
ウィッグをしていると健常者に見えるので、ヘルプマークは心強かったです。

体調の記録
診察のときに症状を伝えやすいよう、副作用など体調の変化を毎日メモしていました。

血管を守るコツ
採血や点滴を繰り返すことで、血管が硬くなり、だんだん採血や点滴がしにくくなりました。ひどい時は、一回の採血のために7回くらいやり直したこともありました。

化学療法室の看護師さんに教わった「貧血状態にならないよう、前日の夕食・当日の朝食をしっかり食べること」「直前の水分補給」は、ルート確保の成功率を上げてくれました。


術前化学療法を終えて

精神的な辛さよりも、身体的な辛さの方が断然大きかったです。でも、診察のエコーで主治医に「腫瘍が小さくなってますよ」と教えてもらうたびに、「治療が効いているんだ」と思えてとても励みになりました。


おわりに

術前化学療法を乗り越えられたのは、家族の支え、医療従事者のみなさま、励ましてくれた友人たちのおかげです!そして、術前化学療法をしっかりと完走した自分自身に対しても、「よくやった!」と褒めてあげたいです。

この体験が、同じ状況にいる誰かの心を少しでも軽くできたら嬉しいです。

▶前回の記事はこちら

ABOUT ME
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アラフォー主婦のきなこみるくです。 乳がんの経験をきっかけに、日々の暮らしを見つめ直すようになりました。 がんのこと、美容のこと、家計のこと、そして心と体のこと。 誰かの「ちょっと気になる」に寄り添える場所になりますように。

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